招待講演「Agile Sapporo: Learn from experience and continue to repair wholeness」
スクラムフェス札幌2020、開催おめでとうございます。
オンライン開催ではありますが、こうして札幌という場所に各所からさまざまな方が訪れ、交流する機会が生まれること、とても嬉しく感じています。また、そうした場に招待講演という形で参加する機会をいただけたことも、とても光栄に感じています。
以前に運営の方とお話しした際、札幌でこうしたイベントに参加される方の中には、スクラムを始めてみたけれど、うまくいかずに困っている現場の方や正解が分からなくて悩んでいる方がいらっしゃるという話を伺いました。
うまくいかなかったということが分かったっていうのは、実はとても良いことですよね。分からなかったら次を始められないですが、うまくいかないことが分かったのなら、それを踏まえて次を始められるんですから。ぼく自身も、そうやって何度もわからないことを分かって、少しずつ今日まで歩んできました。
このトークでは、そうやって札幌で10年、ソフトウェア開発の会社を続けながら私なりに学んできた、大事だと思う4つのことについてお伝えできればと思います。
Outline/Structure of the Presentation
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Learning Outcome
N/A
Target Audience
全ての参加者
Prerequisites for Attendees
N/A
schedule Submitted 1 year ago
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Tsutomu Yasui - Happy Lucky XP ― ケント・ベックに教わったこと
20 Mins
Talk
Beginner
“I do not love the bright sword for its sharpness, nor the arrow for its swiftness, nor the warrior for his glory. I love only that which they defend.”
― J.R.R. Tolkien, The Two Towers
スクラムのイベントなので、エクストリームプログラミングの話をしたいなと思いました。
私が最初にアジャイルに触れたのは、2000年頃、XPの記事や書籍、さらにXPを導入したプロジェクトにプログラマーとして参画したときでした。まだアジャイルという言葉はありませんでした。ペーペーのSIerプログラマーだった私はXPと遭遇して、プログラマーがさらに大好きになり、同時にただプログラミングが好きなプログラマーではいられなくなりました。プログラミングは趣味も含めて10年以上、フルタイムジョブとしては2年目くらいという、XPに触れたタイミングは幸運でした。
XPはプログラマーの仕事を楽しくし、人生を幸せにします。プログラマーは指示通りに手を動かす歯車ではなく、創造性と専門知識を持った一個の人間です。同時に、プログラマーは安穏としてプログラムを書いてるだけでは済まず、顧客やその他すべての職種の人とコミュニケーションし、協力して、やるべきことをしなければなりません。プログラマーはプログラマーだから愛されるのではなく、生み出す価値が故に愛されます。XPは究極(エクストリーム)なので、プログラマーは究極的に最高の仕事をします。時間不足やスキル不足に追われる代わりに、ユーザーの期待と品質のバーを最高に設定して越えていく仕事が楽しくないわけがありません。プログラミング、ものづくりという仕事の意味をXPに塗り替えられた私は幸運でした。
2000年に発行された『XP エクストリーム・プログラミング入門』(第1版)を見返すと、XPのユニークなプラクティスとして紹介されているものがいかに当たり前になっているかに驚かされます。テスト自動化、リファクタリング、コードの共同所有、継続的結合、シンプルな設計。当時の私にとっては、XP、Java、オブジェクト指向設計は不可分なものでした(時代背景的にも多くの人が似た状況だったのではないかと思います)。アジャイルなソフトウェア開発が発達するのと、並行して進歩する開発技術は表裏一体でした。将来当然となるプラクティスに早く触れられたのは幸運でした。
XPは日本において(だいたい世界でも)現在に続くアジャイルのムーブメントを引き起こした先鋒であり第一の波でした。私はXPに心酔するのと同時にコミュニティに熱狂しました。アーリーアダプターの人たちがたくさん引き寄せられました(一過性ではなく、いまでもずっと活動されている方もたくさんいます)。そうした中で、コミュニティに参加したり、登壇の機会をもらったり、運営側を経験することにもなりました。人前で話をするなんてまっぴら御免と思っていた私にとって、幸運な機会がたくさんありました。
XPはソフトウェアの作り手と使い手とを引き裂いた人工的な傷口を癒やし、全体性を取り戻す試みです。私は最初にXPに触れられて幸運でした。XPはプログラマーとして守るべき規律を示しながら、プログラマーの本来の役割は顧客やユーザーに歩み寄り、価値を生み出し続けるために一緒に働くことであるという、長く続く道にそうと知らずして進み始められたからです。オブジェクト指向設計やJavaといった技術だけを追求していたら、もしかしたら一生見つけられなかった道です。幸運だったとしか言えません。
(上記はプロポーザル時点で考えている概要で、今後おおきく変化する可能性があります。4月になったら「XP: An East Asian smiley emoticon representing a happy face sticking out its tongue.」みたいな話になってる可能性もあります。悪しからずご了承ください)
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Tadahiro Yasuda - 日本にJoy,Incを創る!どん底からスタートしたぼくらのジョイインクジャーニー7年間の軌跡 Scrum Fest Sapporo特別編
50 Mins
Talk
Beginner
会社の文化(カルチャー)変革の7年間の軌跡。
2013年ごろ、色々な問題が噴出し、会社としても個人(経営者)としてもどん底の状態でした。
そこから、色々な取り組みを行い、少しづつ会社の状態がよくなり素晴らしいメンバーにも恵まれ、会社の良い文化(カルチャー)が形成されるようになりました。
その過程のなかで2017年8月「Joy,Inc.」に出会いました。
「Joy,Inc」とは、Menlo InnovationsのCEOであるリチャード・シェリダンさんが執筆した本です。職場に喜びをもたらす知恵や経営手法だけでなく、顧客も巻き込んでより良い製品を作り、事業を継続させる手法などについて書かれた素晴らしい本です。
この本に共感しぼくらもこんな会社に成りたい!と決意。それまでの会社の文化を良くするための取り組みを更に推進していきました。
会社のカルチャーを変えることはとても困難です。それをどのような取り組みを行い実行してきたのか、そんなぼくらのジョイインクジャーニーの軌跡を共有したいと思います。そのジャーニーの中でやってきたこと、失敗したこと、いまも続けていることを含めて赤裸々にお話したいと思っています。このぼくたちの経験が、みなさんのジョイインクジャーニーに役立てていただけるのであれば大変嬉しく思います。
今回はScrum Fest Sapporo特別編として
1.コロナ禍によって全社リモートワークになり発生したメンバー間のコミュニケーションの減少という課題とそれを解決するために行っていること
2.Menlo Innovations の現在の状況
についてもお話したいと思います。https://confengine.com/regional-scrum-gathering-tokyo-2020/proposal/11835/joyinc3
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Yasunobu Kawaguchi / Ayumi HOSOZAWA / Toshiharu Akimoto - プロダクト生存戦略 : スクラムギャザリング東京の10年から学ぶ
Yasunobu KawaguchiAgile CoachAgilergo ConsultingAyumi HOSOZAWAEngineerSelf employedToshiharu AkimotoCoach / CatalystKumu Inc.schedule 2 years ago
30 Mins
Talk
Advanced
なかなか東京だと実現できない実行委員やスタッフや参加者の方のふりかえりを通じて、東京のRSGTで何が起こっていて、どう思って運営していて、これまでどんな事件があったか、みたいなのを話し合ってみたいです。
実行委員やスタッフで参加される方、共同登壇者に名前を連ねませんか?2-3人でできればと思います。実行委員で東京のスタッフをされた方にも声掛けしたいです。
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Yasumasa WATANABE - 目標管理はOKRで、プロダクトはScrumで。
50 Mins
Talk
Intermediate
ここ最近、OKR(Objectives & Key Results)が話題を集めていますね。
Scrumを実践する人も、そうでない人も、組織に属している限りは、なんらかのやり方で目標を設定し、
その結果を受けて、業績評価、個人への査定を受けるのではないでしょうか。OKRのよって運営される組織、Scrumによって生み出されるプロダクトは
どっちが欠けてもうまくいかない両輪のようなものだと、僕は考えています。僕が所属している組織では、OKRもScrumも数年前から導入しているという状況でしたが、
そのどちらも「何かがおかしい」「どこかがおかしい」「いや、全体的におかしい」といった
どこにでもありそうな、伸びしろのある状態だったのです。例えば、次のようなことがあったとします...
(あくまで例えばですよ、例えば)- OKRなのに、数値管理として、その達成度をそのまま評価に用いられている
- チーム開発のはずなのに、OKRで定めた目標以外の全てが軽視される
- 開発プロセスではインパクトを出している人の査定評価が高くない
そんな中、ProductOwnerの役割のProduct Managerとして、
OKRもScrumも合わせて幸せになれるよう、取り組んだことをお話しできれば
と思います。- OKRに興味がある、導入しようとしている、導入したけどうまくいかない
- ScrumMasterだけど、組織改善がうまくいかない
- Product Ownerだけど、組織関連はSMに任せっぱなし/もっと任せたい
- まっとうに評価されたい(!)
という方にぜひ、共有したいなと思っています!
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Yukio Okajima - 【特別編】総売り上げ35,400円だったPOが挽回するためにやったこと
20 Mins
Talk
Intermediate
永和システムマネジメントはソフトウェアの受託開発を生業にしていて、私もその最前線で25年やってきました。 そんな私が企画し、プロダクトオーナーとして関わった自社Webサービスが、数か月前にひっそりと終了しました。
その後、ビジネスのオーナーがすべきことは何なんだろう?個人と組織のより良い関係性は?といったことを徹底的に考えて行動を改善し、結果的に「Agile Studio Fukui」というアジャイル専門組織のオーナーへとピボットしました。
その過程では、RSGT2020でお話させてもらったようなメンタルモデルの変革も行いましたが、もちろん、それだけではありません。今回の【特別編】では、挽回に向けて取った戦略と具体的な行動、またそれらに影響を与えてくれた考え方についてお話をさせてください。
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Shinya Ogasawara - メンバーの自律について考えていたら自分が自律していないことに気付いた話。そして、自己調整学習との出会い。
20 Mins
Talk
Intermediate
「相手とのコミュニケーションがうまくいかない。こちらの意図がうまく伝わらない」
「マイクロマネジメントをしたくないけど、メンバーをどこまで信頼して良いのか分からない」
「モチベーションが高くないメンバーに、どのように指導して良いのか分からない」このようなことはよくある悩みではないでしょうか。
私は、普段趣味で教育心理学や認知科学などの分野を学んでいることもあり、そうした分野の中に、こうした他人とのコミュニケーション改善に役に立ちそうな内容がないかなと考えていました。
そこで出会ったのが、「自己調整学習」です。
「自己調整学習」とは、主体的にやり方を決めて、モティベーション高く学習を行うことなのですが、ふりかえりで改善を行うことも学びの1つだと考えれば、このような自律的な学習を促進することで、こうした問題を解消することができるのでは!と期待したのです。
自己調整学習では、「初歩の自己調整学習者」と「上達した自己調整学習者」の違いが具体的な内容で比較されています。
例えば、以下のような比較があります。
初歩の自己調整学習者
- 学習課題に興味をもっていない
- 結果のセルフ・モニタリングをする
- マイナスの評価を能力に帰属する
上達した自己調整学習者
- 学習課題に内発的興味をもつ
- 過程のセルフ・モニタリングをする
- マイナスの評価を方略の使用や不十分な練習に帰属する
あなたは、初歩の自己調整学習者と上達した自己調整学習者のどちらに近そうでしょうか?
私は、自分が上達した自己調整学習者になれていない部分が多々あるなということに気付きました。
相手とのコミュニケーションがうまくいかないとき、それを相手のせいだと思ってしまう自分がいることに気付きました。これは、自分を責めたり、責任を強く感じるというような話ではなく、自分が学習する機会を失わないようにするという話だと考えています。
コミュニケーションの失敗を相手のせいだと考えてしまえば、自分の行動を改善する機会を失います。どうやればうまくできるか、うまくやるためにどうすればより多く学べるか、学ぶ力を高めるための考えとして「自己調整学習」をご紹介したいです。