社外コミュニティ活動の環境が整っていなかった「とある情シス子会社」でその突破口を開くまで
スクラムフェスのような社外コミュニティのイベントに参加や登壇する際、会社公式として活動できるかどうかは、会社の状況に大きく依存します。既にそういった活動が当たり前になっている会社もあるでしょうし、ルールやプロセスが不明確だったり存在しなかったりする会社もあるでしょう。明示的に禁止している会社もあるかもしれません。もし、そのような活動を望む場合に道がない状況であれば、自分たちが第一人者となり切り拓いていく他に方法はありません。
私たちはDNPグループの情シス子会社であるDNP情報システムに所属しています。数年前、いくつかのきっかけが重なったことで、自身の存在意義が「チェンジエージェントとして組織を自由にしていくこと」にあることを(勝手に)見つけ、それを実現する方法を模索するなかで、私(寳田)個人として社外で活動するようになっていきましたが、最近に至るまで、会社公式ではなく個人としての社外活動することに特に不満も問題意識もありませんでした。
しかし、今年に入ってから新年度を迎える頃、マネージング・フォー・ハピネスの出版やそれに関する登壇で個人としての活動に一定の満足を得たからか、チェンジエージェントとして自分が社内で起こしてきたことに段々と自信が持つことができたからか、それによって他のことを考える余裕ができたからか、あるいはそこそこいい歳になってきたからか、はたまたその全てが合わさってか、自分がやるべきこと(すなわち、自分にしかできないこと)で今いる場に貢献していくことを考えてみると、
- 特定の人が周囲の人を動かすことでパフォーマンスを出すのではなく、皆が自律的に自分の思うままに(衝突も含めて)動いた結果の相互作用によって1人では実現し得ない総体としての結果を出すような組織に変えたい
- これまでの過去や現在ではなく、これからを支える次の世代がいきいきと活躍していけるような道筋や(ルールやプロセスや文化や風土などを生み出す構造としての)システムを残したい
の2点であることに気づき、それらを自分の仕事におけるゴールと考えるようになってきました。
一方で、社内では「情シスのメイン業務で得た業務ツールの利用促進(ときどき横連携強化)から仕事のやり方を変えていい感じの働き方ができるようにしていく」を目的にコミュニティも立ち上げていましたが、ここもコミュニティメンバーと今後の在り方や活動方針を見直す機会があり、これからは「仕事のやり方を変えていい感じの働き方ができるようにしていくこと」すなわち「セルフマネジメントの理解と実践による自律的な行動や責任に満ちた組織へのトランスフォーム」の方に重心を置くこととし、そういった変化への認識と欲求を刺激する(社内で自分たちも変わりたい、変わらなければいけないという想いが生まれるようにする)ためのロールモデルや良い意味での外圧となるべく、今年4月から「公式に社外活動に取り組んでいく」「そのためのスキームを整備する」を目標に動いてきました。
このセッションでは、そういった状況にいる「とある情シス子会社の今はまだ小さな現在進行形の物語」として、今に至る経緯、いくつかの時点でどう考えて何の行動をとったか、これから何を狙っているかについてお話します。
物語の行く末はプロポーザルの採択によっても変わるところもあると思います。当日、皆さんの前で/皆さんと一緒に話をして、一定の目標を達成した喜びが共有できれば幸いです。
Outline/Structure of the Talk
- 会社のコンテキスト
- 個人の話
- 個人としての社外活動期
- 自分がやるべきこと
- コミュニティの話
- 業務ツールの利用促進としての社内コミュニティ期
- 組織変革のリードとしての社内コミュニティ期
- 社外活動を公式化するにあたって
- 戦略や想定
- 実際にやったこと
- そこから得た学び
- このセッション講演時点の最新の状況
- コミュニティメンバー視点からの見え方や感じたこと
- 今後の展望
- 私たちからのメッセージ
Learning Outcome
- 現場に戻って自分も何か変える行動をしていこうと思えるような気持ち(コミットメントや勇気)
- 大企業における情シス子会社の状況の理解と共感
- そういった会社が変わっていくときに必要となるきっかけ・状況・マインド・アクションなどパズルのピースとなるものが何か
Target Audience
自分の現場や組織を変えていきたい方、立ち上がる勇気を今ひとつ持てない方、同じように社外コミュニティ活動にこれから取り組んでいきたい方、あるいは社外コミュニティ活動を実現するにあたって問題や悩みを抱えている方、変革の観点で大企業のグループ会社の状況を知りたい方
schedule Submitted 3 months ago
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Arata Fujimura - 厄介な現実に向かって一歩踏み出そう
60 Mins
Keynote
Beginner
新しいことにチャレンジしようとすると、厄介な現実に直面することも多いです。
未経験からプログラマへのチャレンジ、メインフレーム用OS開発からインターネットサービス開発へのチャレンジ、プログラマからプロジェクトマネジメントへのチャレンジ、上場会社から数人のスタートアップへのチャレンジ、会社員からフリーランスへのチャレンジ、自己流開発プロセスからアジャイルへのチャレンジ、日本から東南アジア(フィリピン、ベトナム)へのチャレンジ、Webサービスから農業課題解決へのチャレンジ、自社サービス内製開発から受託開発へのチャンレンジ。
私は今まで12回の転職(出戻り、転籍、フリーランス含む)を繰り返しながら、様々な事にチャレンジしてきました。
新しいことにチャレンジするのは正直しんどいです。必ずといっていいほど厄介な現実に直面し、何度も心が折れそうになりましたが、それらを乗り越えたときに得られた充実感や達成感、素晴らしい人達との出会い、そして一つの機会が次の機会を引き寄せることで、人生はより豊かになるのではないかと信じています。
今回のセッションでは、直近のチャレンジであるアジャイルな受託開発、アジャイルなオフショア開発の経験を中心に、なぜチャレンジするのか、どうやってチャレンジするのか、どんな困難があるか、そのチャレンジを通して何が得られているか、今度どうしていきたいのか、その辺りのお話しをすることで、誰かの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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Kazuki Mori - Don't just Do ふりかえり, Be ふりかえり!
45 Mins
Talk
Intermediate
※ふりかえりが形容詞じゃないという部分は投げ捨てています
アジャイル、スクラムのなかで、とても親しみやすく、そして奥が深いのが「ふりかえり(Sprint Retrospective)」というイベントです。
スクラムを始めて1, 2年のチームの話を聞くと、こんな悩みをよく聞きます。- Tryを出しても行われず、毎回似たようなTryが出てくる
- 出てきた問題がチームだと対処しようがない問題で、解のないまま終わってしまう
- ふりかえりの〇〇の手法をやっているけど、しっくりこなくて…
- どうやって自律的に(スクラムマスターが不在でも)ふりかえりが回せるようになるの?
これらの悩みの中には、下記のような潜在意識が隠れています。
- 「ふりかえりで問題を解決すべき」と思っている
- 「ふりかえりが問題を解決してくれる」と思っている
- 「ふりかえりをうまく回す」ことが目的化している
- 「特定のふりかえりの手法が問題に対しての特効薬となる」と思っている
こういった考え方は間違いではありません。ただ、それがふりかえりのすべてのように感じられてしまっている、もしくはそう思い込んでしまっている現場も少なくありません。
「Do ふりかえり」の意識では、あくまで「ふりかえりの中でなんとかする」という考え方が生まれがちです。ですが、ふりかえりの時間は仕事の時間の中ではごくわずか。アジャイル開発・スクラムにおいては、1週間で40時間働くうち、毎週1時間ふりかえりをしたとしても、たった2.5%の時間でしかありません。この時間の中で、残り97.5%で生まれた問題を解決するというのは酷です。
それではどうするのか。97.5%の時間で問題が解決される(もしくは良い方向に変化が起きる)ような状態を作り上げます。それが「Be ふりかえり」です。ふりかえりをするタイミングに合わせてふりかえるのではなく、チームの中で「自然とふりかえっている」状態を作ります。
この状態を作るには、「ふりかえり」の活動だけでは実現できません。チームビルディングを常に行い続け、チームのコミュニケーション・コラボレーションを活性化させる。「継続的チームビルディング」とも言える活動を取り入れてこそ実現できます。そして、その継続的チームビルディングを行いやすい場が、「ふりかえり」の時間なのです。
このセッションでは私が複数の現場で再現性を高めてきた、「Be ふりかえり」の状態に至るまでのプロセスと、その一歩目の踏み出し方・継続の仕方をお伝えします。ふりかえりをより楽しみ、チームとプロダクト、そして事業が成長していくための道のりと実際の事例をお話ししたいと思います。
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takehito koizumi - 組織アジャイル 機能しない組織バックログが機能するようになるまで
20 Mins
Talk
Beginner
変化が激しい状況の中、組織自体もアジャイルに変化していく必要性が出ています。そのため、開発だけでなく組織運営自体もスクラムの概念を取り入れ、プランニングやレトロスペクティブをしながらバックログを消化していく事で、組織を成長させていく。そのような「組織アジャイル」の考え方が注目されています。
その中で肝となるのが「組織バックログ」です。書籍「組織を芯からアジャイルにする」においても
>バックログでチームの「脳内」を表す
>今取り組むべきものについて、チームや部署内で共通の理解を得るための「可視化」、さらに粒度を合わせるための「構造化」、何から取り組むのかという「順序付け」を行う事で、チームの脳内を整えて行動を揃えるとバックログの重要性について記載されています。
「なんだ?チームでタスクを見える化して計画・ふりかえりを繰り返していく。普通の事じゃないか?」
と我々も「組織アジャイル」なる活動を始めてみましたが、始めてみると開発でのアジャイル適用以上にうまくいかない事の連続でした。
本セッションでは組織アジャイルとしてバックログの管理・運用が何故難しいのか?どういった事に工夫したらよいのか?という点について実際に運営する中での気づきとTipsを報告したいと思います。特に組織バックログを対応していく上で必須と思える協働のメンタリティをどのように育んでいったかを解説したいと思います。組織を変化させたいリーダー層に参考になれば幸いです。
<組織バックログがうまくいかなかった理由>
1.ゴールが見えづらい
・組織のプロダクトゴールが必要だが、組織単位で意味のあるゴールを設定・共有することが難しい。結果、プロダクトゴール、スプリントゴールがうまく設定できず、単にバックログをこなしていく、いわゆるビルドトラップの罠にはまってしまう
2.バックログの構造化が難しい
・プロダクト ゴールを設定できても、バックログ化するにはゴールとバックログを紐づける構造化が必要となる。ただし、抽象的なゴールから具体的なバックログを整理するやり方が分からない
3.担当の役割分担が難しい
・組織活動を実施する場合はリーダー層が集まって対応することが多くなるが、忙しいリーダー層で効率よく作業ができるよう、タスク分担をして対応した。
しかし、タスクの偏りやメンバーでの優先順位の違いが出て、中々進まなかった。また、当然スクラムマスターも専任できない中、バックログの見える化やメンバーの調整、ふりかえりやゴール設定のファシリテーション等、タスクは進まない中で、スクラムマスターの負荷だけが大きくなり、疲弊した
<対応方法のTips>
1.組織のMVVの及びゴールの設定
・ ゴールが見えないという課題については、リーダー層で合宿を実施し、MVVを策定
・MVVとバックログの関係を構造化した
2.ゴールに対してのバックログの構造化
・1年後、3ヵ月後、1か月後といった期間ごとのゴールを言語化しKPIを仮設定
・スプリント中にゴールと仮設定したKPI自体を見直すようなタイミングを設けてふりかえり・むきなおりを実施
3.協働のメンタリティ
・ メンバー間でソーシャルサポートのスキルの重要性を共有し、助けてもらうスキルを意識的に伸ばす
・モブワークの枠を多用し、集まれるメンバーで集まりながら、タスク担当者とは関係なく、モブ作業で課題解決や計画を実施
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Akira Ohno - ラスボスゾンビのチェックリスト⁉️ -これであなたも立派なラスボスゾンビ!-
45 Mins
Talk
Beginner
Abstract
ラスボスゾンビとは「ゾンビスクラムサバイバルガイド」に触発され、私が独自に定義した言葉です。
「チーム・組織をゾンビスクラムに陥れるリーダーやマネージャー」です。スクラムフェス福岡にてお話しした「ゼロからスクラムを推進したスクラムマスターがラスボスゾンビEMになるまでの失敗と心の中」でラスボスゾンビのチェックリストを紹介いたところ、ご好評をいただきました。
このセッションは、ラスボスゾンビ株式会社(架空)が世の中にラスボスゾンビを普及するというストーリーに沿って、コミカルにラスボスゾンビにならないためのポイントをチェックリストに沿ってお話しします。
* ラスボスゾンビSMのチェックリストの項目の紹介
* それぞれの項目がなぜこのポイントがゾンビスクラムを招いてしまうのか
* どのような行動がゾンビスクラムに招いてしまうのかラスボスゾンビ株式会社からのメッセージ
こんにちは、世界の皆さん、私はラスボスゾンビ株式会社の代表取締役CEOのおーのAです。
弊社のミッションは「世界の全てのスクラムをゾンビスクラムに」です。
我々はラスボスゾンビという素晴らしいリーダーを育成するコンサルティング業を生業としております。本日はお集まりの皆様に、特別にラスボスゾンビトレーニングを提供いたします。
弊社独自に開発したラスボスゾンビトレーニングにより、皆様を立派なラスボスゾンビへと育成したいと思います。
皆様と共に世界をゾンビスクラムの脅威に陥れていきましょう。 -
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terahide ... / kenta aoyama - 【新卒研修】私たちはなぜ新卒研修を内製したのか!?アジャイルから学んだ新卒研修で会社が変わった!
45 Mins
Talk
Beginner
弊社では新卒の採用を活発にしています。(今年は64人の方を採用しています)
新卒のみなさんは4月に入社をすると2か月間の新卒研修を受けます。
今までは外部の研修会社に依頼をしていました。社員は会社の宝です。ですが、残念ながら、研修の内容は少なくともぼく(てらひで)にとっては満足がいく内容ではありませんでした。
そんな中、自分みたいな1社員がこの状況を変えるなんて無理だろうと思い日々を過ごしていました。ところがです。2020年4月。COVID-19の影響で緊急事態宣言が発令し、弊社もリモート勤務を余儀なくされました。もちろん新卒のみなさんも例外ではありません。
慌てたのは研修を担当されていた講師の方です。集合研修を想定していたものが、研修開始して3日目で急遽リモートに切り替えられたからです。
講習を録画し教材を作るなどの今までやったことのない作業が研修期間と並行して行われました。
その年の新卒のみなさんには(仕方がなかったとは思いますが)残念な研修をうけてもらうことになってしまいました。その結果を踏まえて、3年前から新卒研修を自前で行うことを計画し始めました。
変更前の研修のような形式で身に着けたハードスキルはすぐに陳腐化してしまいます。
新卒が自分達で考え自分達で行う研修。生涯学習。アクティブラーニング。チームでの研修。考えることはたくさんありました。
そこで、ぼくらが参考にしたのはスクラムでした。スクラムでは自己組織化したチームが自分たちでゴールを決めて作業を進めていきます。
このやり方を研修に生かせればと考え2021年に最初の社内による自前での新卒研修が行われました。
その後3年かけてブラッシュアップしてきた取り組みをみなさんにお伝えしたいと思います。
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Masatoshi Endo - 別の国のスクラムの話を聞いて、グローバルな気持ちになるセッション
20 Mins
Talk
Beginner
15年間働いていた会社を辞めて、2019年の5月から2022年の5月までの3年間、
C国の会社に入社し、ソフトエンジニア、PO/PMとして働いていました。
その中で経験した事や、気づきをお伝えします。また自分の調査出来る範囲で、海外のスクラムやアジャイルに関する情報を
シェア出来たらと思っています。海外に出てみると、日本での普通が、普通に思えなくなることがあります。
色々な価値や考えに触れることで、より選択肢の多い自分になっていった経験。このセッションを通して、海外に出るのも良いかも、グローバルな気持ちになってもらえたら
嬉しいです。 -
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NANAMI HIROKAWA / piyonakajima (Nakajima Tomohiro) - 開発チームだけじゃない!マーケティングチームも毎日Fun Done Learnを半年以上実践している秘訣
NANAMI HIROKAWAMarketing Manager株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックpiyonakajima (Nakajima Tomohiro)Software Engineer / Product Owner / Retrospective MusicianKDDIアジャイル開発センターschedule 3 months ago
45 Mins
Talk
Beginner
ふりかえり、大切だとは思いながらも形骸化してしまったり、なかなか定着しなかったことはありませんか?
また、毎日のふりかえりって開発以外の分野ではどうしてるんだろう?と気になっている方もいるかもしれません。本セッションでは、ふりかえり手法「Fun Done Learn」の魅力、そして開発ではないマーケティングのチームが毎日Fun Done Learnを実践している事例をご紹介します。
事の始まりは、2022年11月。KAGの中島が「Fun Done Learnのうた」を発表しました。
この曲の歌詞には、KAGのPoCチームが毎日Fun Done Learnにてふりかえりをおこなっている実践知が込められています。KAGのPoCチームでは、顧客との価値検証を目的に1日単位のスプリントにて計画〜レビュー〜ふりかえりを実施。今の状態をチームで把握するために、毎日Fun Done Learnで2年以上ふりかえりを続けています。そして、スクラムフェスでKAGと出会った、ITプレナーズのメンバー。この曲の中毒性に取り憑かれ、毎日ふりかえりをするというエピソードを知ったことがきっかけで、ITプレナーズのマーケティングチームは毎朝の朝会でFun Done Learnによるふりかえりを始めました。この取り組みは半年以上経った今でも継続され、すっかり定着しています。
何故、ふりかえりを始めようと思ったのか?その背景は?
毎日Fun Done Learnをやって感じている効果とは?
Fun Done Learnをしている際に気を付けていることとは?チームで習慣を作ることは大変なことです。
KAGとITプレナーズ合同で、毎日実践しているFun Done LearnをFun Done Learnでふりかえることで、Fun Done Learnの魅力を更に掘り下げます!※参加者からも随時ふせんを募集します!
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Taku Iwamura - プロダクトオーナーの判断を軽くするのが開発者の仕事〜まじサーバントな開発者の心得〜
20 Mins
Talk
Intermediate
私は社会に出てから20年近く、非アジャイル(いわゆるウォーターフォール的な)のシステム開発や運用保守の仕事をしてきましたが、縁あってアジャイル開発・スクラムと出会いました。現在は新規事業やスタートアップのPoC開発を行なうスクラムチームの開発者として多様な案件に取り組んでいます。
スクラムでは、プロダクトオーナー(PO)がプロダクトゴールの策定、プロダクトバックログの作成と優先順位付けなど、プロダクトの価値を最大化するための重要な役割を担っています。
しかし、開発者がPOから与えられたバックログをただ消化するだけのチームは、本来の価値を十分に発揮できません。全ての意思決定をPOに任せるのではなく、開発者がPOの判断を支援し、より効率的にプロジェクトを進めることが重要です。
私たちのチームでは1週間〜1ヶ月程度の期間内に仮説検証のフィードバックループを高速で回しています。そのため開発者は十分な品質を保ちつつ、半日〜1日でリリースできるような開発スピードを求められます。限られた時間内にプロダクトの価値を最大化するために、開発者はPOの意思決定を軽くする役割を果たすことが重要です。
- POの意思決定を軽くした一例
あるユーザーストーリーについて開発者で話し合い。
「技術的な難易度が〜〜〜」「ここつくると工数が〜〜〜」「実際にユーザーがこの機能をどのくらい使うの?」「もしこの機能がなかった場合にどの程度の価値が損なわれる?」などを議論。その内容をPOに共有して、判断材料が十分に揃った状態でPOに意思決定してもらう。
開発者「・・・というわけでこの部分は別ストーリーにできると思うけど、どう?」
PO「OK、そうしましょう」
といった感じで、数分の会話でユーザーストーリーの一部を分割して優先度を下げることを決めた。本セッションでは、私が過去に経験した非アジャイルな開発とアジャイルな開発を比較しつつ、POと開発者がどのようにコミュニケーションを取り問題解決に取り組んでいるかを共有します。そして、スクラムチームの開発者として私自身がどのように考えて行動しているかをお話しします。
このセッションが、POから信頼されチームに貢献できる"まじサーバント"な開発者になるための知識とスキル、マインドセットを身につけるヒントになれば幸いです。
1: まじサーバント:明確な定義はないが、ここでは「こだわりなく自然と奉仕できる状態またはそういう人物」を意味する -
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amix edcolor - エンジニアに求められる当たり前とは? 〜新卒研修を経て実感する、当たり前であるべき当たり前〜
20 Mins
Talk
Beginner
先月4月に新卒として就職を果たした、社会人1年目のエイミです。
このセッションは、新卒研修を受けたばかりのエイミが、新卒研修を通して気づいた「当たり前」をもとに構成されています。
僕が受けた研修では、一番最後の関門として卒業試験がありました。その関門に至るまでは与えられた要件を満たすWEBサイトを作り、いくつかのフェーズに分けてレビューを受けつつ、早く作り終えてレビューを受けた人から通過していく形でした。それらの試練を乗り越えて、卒業試験を受けます。どのような形式かというと、CTOでもある事業本部長・配属希望先の事業部長・エイミの3人で口頭試問の形で以下の2点を見極めるものでした。
- 研修内容をどれだけ理解できているか
- 現場に配属されるにあたって必要なスキルがあるか
この試験を受けたのは昨日のことですが、今日1日試験でのフィードバックを受けてインプットしたり、試験や研修自体を振り返ったりしていると、あることに気がいくようになりました。
現場のエンジニアになったとき、プロとして成果を求められることになることです。
もう少し具体的にすると、ビジネスとして、それも新規事業開発のプロとして、エンジニアリングという専門性を手段にしながら事業の成功のために成果を出す必要があります。そして、その成果を出す上で必要になる「当たり前」は、大学時代に教わってきたことや実践してきたこととは色が異なりました。アルバイトでも、授業の開発でもない場、はたまたスタートアップのコアメンバーとしての開発でもない場、この事業共創カンパニーにおけるプロのエンジニアの一人であるということは、自分がこれまで経験してきたどの場とも違う印象を持ちました。
きっかけはいくつかありましたが、総じて「プロという自覚」や「求められている以上の成果」という言葉を受けたこと・考えたことに帰結しました。エンジニアとしての実践研修だけでなく、座学の研修やビジネスサイドと合同の全体研修のころからさまざまな話を聞き、日々の気づきを振り返り、思考し、試行し、フィードバックを得てきました。
どのタイミングにおいても、現場のエンジニアとしてのレベルに到達することを求められてきました。大学時代の経験とは明らかに異なる意識の仕方があり、そこに自分と現場とのギャップがありました。
もちろん、現場のエンジニアとして、プロとして働く上ではいずれも欠かせない「当たり前」ですが、ただ動くものを作りたい、ただ自分で使うものを作りたい、といった時には現れにくいものでした。現場における「当たり前」は、少なくとも大学時代の僕にとっては「当たり前」ではありませんでした。
今回僕がピックアップする、ギャップのあった「当たり前」は以下の3つです。
- 自動テストを書く
- パフォーマンスやセキュリティを考慮する
- 計算オーダーやクエリの発行回数
- 可用性・機密性・完全性
- 一定水準以上の可読性・保守性
既に現場のエンジニアの経験がある方からすれば、なにを当たり前のことを言っているんだ、となると思います。
しかし、これらは大学時代に経験することのなかった「当たり前」でした。中には大学時代から現場で働いていた人もいるかと思いますので補足すると、今回ギャップがあるとみている両者は以下の2者です。
- 現場のプロのエンジニアの「当たり前」
- 学生エンジニア、いわばアマチュアの「当たり前」
この両者について言及します。
このセッションでは、3つの「当たり前」に対して、大学時代のエイミと、現場のエンジニアとして求められたエイミという2つの観点から、その実態・そうである背景・ギャップを埋めるために必要なこと、について語ります。
それにより、これからエンジニアとして働く学生にとっては、現場において何が求められるかがわかり、そのギャップに心構えをすることができます。
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Takeo Imai (Bonotake) - 個人分担性がスタートアップの成長を殺す 〜協働でチームがめっちゃ進化する話〜
45 Mins
Talk
Beginner
スタートアップでの開発形態は、ウォーターフォールに依存しがちなJTCと違って、プロダクトバックログやカンバンぽいものを使ったアジャイル風の開発をしていることが多いです。
特にSaaSだとそもそもウォーターフォールがそぐわないので、自然とそういう形態になりがちです。しかし一方で、そういったスタートアップにはプロダクトバックログはあっても、たいていPBIの1つ1つがやたらでっかくて、1つ1つにしっかり担当者がアサインされてて、何ならデッドラインまで記されています。
これを引き起こすのは、スタートアップ特有の個人分担制です。
多くのスタートアップ企業はたいてい、エンジニア1〜2名からスタートし、個々のエンジニアの馬力で開発をこなしていくところから始まります。このときのバリバリ個人開発なノリが、エンジニアが増えても継続してガチガチの個人分担制に移行しがちです。しかし、個人開発の延長で大きくなったスタートアップはそのうち大きな壁にぶち当たります。
- 特定のエンジニアに負荷が集中する
- 開発のリードタイムが異様に長くなってしまう
- etc.
それは、事業がいわゆる Product Market Fit を終え、これから事業を大きくしよう、売上を伸ばしていこう、というときに特に顕在化し、問題になります。
こんなとき、みんな「人手が足りない」「開発が回らない」と考えがちなのですが、その実、個人開発をやめれば人を増やさなくても開発は回るようになります。たいていの場合。こんなチームを救うのは、協働です。協働を意識したチーム開発への移行がこの危機を救うのです。
このセッションでは、個人開発をこじらせたスタートアップ企業がどうやって個人開発からスクラム流のチーム開発に移行すればいいのか、を、実際そういった傾向を持った複数のスタートアップ企業にアジャイルコーチ/スクラムマスターとして関わった経験を元にお話しようと思います。
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Shintaro Yada / Yutaka Shiraishi - スクラム + テスト + 大規模プロジェクト + 製造業 + 車載機 = 私たちのチーム!!
Shintaro YadaDeveloperALPS ALPINE CO., LTD.Yutaka ShiraishiScrumMasterALPS ALPINE CO., LTD.schedule 3 months ago
45 Mins
Talk
Intermediate
昨年、Ebackyのkeynoteで10分程お話させていただいた、アルプスアルパインの白石です。
昨年は、テストチームならではの取り組みについてご紹介しましたが、10分には収まり切らなかった話がまだまだあります。
今年は、私たちのチームメイトの矢田から詳細な内容を話してもらおうと思っています。
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アルプスアルパインの矢田です。
皆さんのプロジェクトには、テスト専門チームはありますか?私たちは、アルプスアルパインで製造したAndroid™ OSのカーナビゲーションに対し、Google認証を取得するためのテストを一挙に担っているテストチームです。
スクラムでテストチームと聞くと、どういうイメージを持つでしょうか。
何がプロダクトバックログになると思いますか?
何が完成の定義になると思いますか?
...こういった具体的なプラクティスや、実際に起きた問題をお話しする予定です。
テストチームの話にはなりますが、一般的なソフトウェア開発チームを改善する発想のきっかけも得られると思います。※ AndroidはGoogle LLCの商標です。
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Yusuke Uchida / Yanagisawa Hisashi - アジャイルなスポーツ、バスケットボールの魅力
20 Mins
Talk
Beginner
なぜ今バスケ?
仙台の皆さんこんにちは!8/25、いよいよ2回目のスクラムフェス仙台が始まりますね!
でも今回の目玉はそれだけなんでしょうか…?
いえ、他にもあるんです!何を隠そう…FIBAバスケットボール・ワールドカップ2023も8/25に開幕するんです!!
今回はフィリピン、インドネシア、そして日本の3カ国で史上初の共催です。
日本はグループステージで- ドイツ(世界11位)
- フィンランド(世界24位)
- オーストラリア(世界3位)
- 日本(世界36位)
というグループEに所属し、「死の組」とも言われています。
しかし!日本代表のAKATSUKI FIVEは18年にはオーストラリアに、19年にはドイツに勝利した経験もあり、その時も試合に出ていた八村塁が今回も出場してくれるはずです!今年のバスケといえばスラムダンクの映画が盛り上がりもしましたが、歴代最強とも言えるAKATSUKI FIVEを応援しもうひと盛り上がりしようではありませんか!!
えっ?なんでそんな話をスクラムフェス仙台でするのかって?
そんなの、バスケがアジャイルなスポーツだからに決まってるじゃないですか!
ラグビーがアジャイルなスポーツという話もありますが、バスケも負けないくらいとてもアジャイルなスポーツなんです!本セッションでは会社も住んでる地域も応援するチームも違うけれどバスケが好きという強い絆で結ばれた二人が、
- バスケを知らない人でも
- 8/25から始まるバスケワールドカップを存分に楽しめ
- ワールドカップ終了後も継続的にバスケットボールを応援したくなる
- バスケを知ってる人は今まで気づかなかったアジャイルな魅力に気づきより楽しめるようになる
ような、バスケのアジャイルな魅力をお届けします!
我々が考えるバスケのアジャイルな魅力
- 5vs5のスモールチームで戦うスポーツであり、交代も自由であるためチーム全体アプローチで総合力を発揮することが重要です。
- 10分クォーターや24秒以内にシュートを打たなければいけないなど、試合中様々な長さのタイムボックスがあります。
- クォーター間の休憩やタイムアウトで検査と適応を重ねながら戦います。
- 試合相手や試合状況に応じて様々な戦術(プラクティス、カタ)を柔軟に選択し、170cm未満の選手が200cm超の選手を相手する瞬間も生まれます。
- 試合数が多く、連戦が基本なので出場時間をシェアしながらシーズンを戦い抜く持続可能性が重要です。
ワールドカップが終わったらどうなる?
ご安心ください、各地にチームがあります。
スクラムフェス・RSGTが開催されている札幌、仙台、新潟、東京、三河、大阪、福岡、沖縄のなんと全てにBリーグ所属のバスケットチームがあるんです!
ワールドカップは9/10まで開催されますが、そこから数週間後の9月末〜10月頭には2023-24シーズンが開幕します。
すぐそこまで迫った新シーズンに向けて、スクフェス・RSGT開催地のチームをご紹介します! -
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Shinya Ogasawara - 教育心理学概論ってどんな内容なのか探索するワークショップ
90 Mins
Workshop
Beginner
教育心理学概論 という本をご存知でしょうか?
アジャイルやスクラムと直接関係があるわけではないのですが、コミュニティの中で話題に挙がることがしばしばある本です。
私は、2016年頃から開催された読書会でこの本に触れ、それ以降この内容が好きになって、読み直したり、関連する本の読書会に参加するなどを続けています。
先日は Shinagawa Agile Talks に呼んで頂いて、この本に関連する内容についてお話する機会もありました。
教育心理学概論にどんなことが書かれているのか紹介するために、p.3「まえがき」に記載されている内容を引用します。
教育心理学は, 人が賢くなる仕組みを明らかにして, 人をより賢くするにはどうしたらいいのかを探る研究分野である。人は生まれつき身の回りにあるものごとや自分が経験したことの中に規則を見出す仕組みを持っている。自分の経験と他人から聞いたことを結びつけて視野を拡げる仕組みも使える。
〜中略〜
教育心理学の研究成果は, 学校など学びが起きる現場での人の賢さを育てることにつながる。学びはアジャイルやスクラムにおいて重要な要素の1つだと思いますので、このような「人の学びについて学ぶ」ことに興味を持って頂ける方も多いのではないでしょうか。
一方で、(教育心理学概論はページ数もあまり多くないですし、やさしく書かれている本ではありますが)技術書などとは少し毛色の異なる本を自分で読むことに躊躇いがあったり、自信がない方もいらっしゃるのではないかと思います。
そのため、今回、教育心理学概論に書かれている内容がどんなものなのかを知るためのワークショップを開催したいと考えています。
実施内容は基本的には読書会の形になりますが、教育心理学概論でも紹介されている知識構成型ジグソー法 を使って、複数人が協力しあって、本に記載されている内容を理解していくことを考えています。
どのようなことを行うのか、大まかな流れを紹介します。
- まず、教育心理学概論の内容を大きく3つのテーマに分けます(詳細は検討中ですが、例えば「素朴理論」「建設的相互作用」「熟達」といった内容)
- テーマごとに2〜4人のグループを作り、教育心理学概論に記載されている内容を確認したり、理解するためにグループで話し合ったりします(エキスパート活動)
- 次にそれぞれのテーマを担当していた人たちが1人ずつ集まって、3人のグループを作り、お互いが学んだ内容を共有しながら、教育心理学概論にどのような内容が書かれているかについて話合います(ジグソー活動)
- 最後にジグソー活動で話した内容について、他のグループに対して共有を行います(クロストーク)
このワークショップを通じて、教育心理学概論に書かれている内容のおもしろさを知って頂くのと同時に、複数人で本を読むことで色んな観点から掘り下げることができる楽しさを経験して頂けたら嬉しいです。
※現地のみの開催を予定しています
※最小開催人数を6名、最大開催人数を12名としたいです(人が足りない場合には、小笠原も参加します)
※当日の参加希望者が5名に満たなかった場合、実行委員の方などで人数を補って頂けるとありがたいです
※教育心理学概論はこちらで用意しようと考えていますので、参加者で用意して頂く必要はありません
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Misaki Nagasawa / Yuki Kitamori - 【新卒研修】自分の研修は自分で作る!
20 Mins
Talk
Beginner
「2か月後の配属の時、自分はどうなっていたいのか」
必死に考え続けて、研修期間を駆け抜けてきました。私たちが受けた新卒研修は、スクラムに則って行われていました。
プランニング、デイリースクラム、レビュー、レトロスペクティブ、
そしてまた、プランニング、...サイクルを回すごとに、私たちの研修は私たちの手によって改善されていきました。
理想の自分になるための最高の研修を作り上げた先に、何があるのか...
このセッションでは、配属されてからの学びも加えて、改めて新卒研修をふりかえります!
スクラムの要領で、一週間ごとにプランニングと振り返りを繰り返し、研修中の学びの最大化を目指してきました。一週間後にどうなっていたいのか、二か月後研修が終わる頃には何を身に着けていたいのかを考えて研修期間を過ごすうちに、自分のための研修ができていきました。新卒研修を通して私たちは大きく成長し、さらに成長し続ける土台をも築きました。その土台がまさに、スクラムのリズムです。スクラムのサイクルを常態化させることで、日常的に自分の取り組みや自分そのものを改善させていくことができるようになりました。
このセッションでは、
どのようにして自分の研修を作ってきたのか
研修を通して身に着けたスクラムのリズム
日常にスクラムのリズムを取り入れる方法
についてお話します!
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Katsuya Suzuki - 会社の先輩とアプリ開発始めてみた!『Fearless Change』のパターンで振り返るサブプロジェクトの始め方
20 Mins
Talk
Beginner
大企業のSIerでシステムエンジニアをしています、Katsuyaです。
本セッションでは、発信し続けることと『Fearless Change』のパターンを意識することで
- 社内で同じ志を持つ仲間を見つけられる
- 熱意や目標を見失わずに楽しく継続的に活動できる
という話をします!『Fearless Change』の第二部にはパターンの事例紹介が4人分掲載されていますが、私のストーリーが5人目の事例になれますように...!!
■セッション概要
3ヶ月ほど前から、会社の1つ上の先輩と業務時間外にWebアプリ開発を始めました。本業でアサインされているプロジェクト(メインプロジェクト)と対比して、このアプリ開発の営みをサブプロジェクトと呼んでいます。
なぜ先輩と私がサブプロジェクトを始めるに至ったか。それはメインプロジェクトに対して次のようなことを思っていたからです。
- コーディングの時間が少なすぎる(=基礎となる開発力が向上しない)
- アーキテクチャや開発プロセスレベルで試験的な取り組みをすることは工数的に不可能(相当な理由がないとクライアントが納得してくれない)
- 自分たちがアーキテクチャなどに対しての裁量を持てる職位になるまでに、試行錯誤する時間やタイミングがない
- そもそもこうしたことに興味があって意欲的に取り組める人が周りにほとんどいない
今の私たちは圧倒的に知識と経験が不足しているので、現状のシステム開発を客観的に広い視点で評価することができず、ただなんとなく「イケていない...」と感じるだけに留まっています。かと言って自分たちがそうしたことに裁量を持てる職位に上がった頃には今までメインプロジェクトで経験したことのあるアーキテクチャや開発プロセスにしか理解がないので、他のアーキテクチャや開発プロセスを採用するのはリスクが大きすぎます。
そこで!サブプロジェクトを始めようじゃないか!、と。私が先輩に声をかけたわけです。まだ始めて2ヶ月程度しか経っていないのでこれといってサブプロジェクト自体の成果は上げられていませんが、サブプロジェクトを始めるまでの過程の中にいくつか良かったと思える行動があったことに気づきました。
今振り返ると、書籍『Fearless Change』に出てくるパターンに似ているのです。例えば、
- 小さな成功
- 自分たちの取り込みからどんな小さいことでも学びを発見し、その学びを持って自分たちの活動は成功しているのだとお互いに称え合っています。決してプロダクトとして日の目を見ないと成功とは言えないわけではないと思っています。
- ステップバイステップ
- 本当にたくさん試したいことはあるけれど、まずは1つだけ最も興味があるトピックを選んで取り組んでいます。これによって、自分たちは今何を検証しようとしてこの取り組みを行っているのかが明確になります。
- ふりかえりの時間
- 活動した日は必ずふりかえりを行います。自分たちの取り込みによって何が学べて何が良かったのか、逆に何に困っているのかなどをつぶさに観察します。
- グループのアイデンティティ
- サブプロジェクト開始直後にチームの名前を決めました。自分たちがこうして集まった理由となる「システム開発に対する熱意」をチーム名に込めたこと、またチーム名を決める一連の活動を通して、アイデンティティが形成されたと実感します。
- イノベーター
- 私が会社の先輩に声をかけたのは先輩がこのイノベーターを担ってくれると期待したからです。
- 定期的な連絡
- 先輩と私はプロジェクトを離れたあとも定期的に連絡を取り合い、技術的な関心事などについて話していました。
- 勉強会
- もともとこのサブプロジェクトの前身として読書会を行っていました。
これ以外にも、私がプロジェクトのSlackで自分が興味あるトピックを発信し続けていたこと、工数に影響のない範囲で改善したり試したりできることは積極的に取り入れていたことなどが、サブプロジェクトを開始するにあたって良い影響を与えていたと思っています。
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Kentaro Miyake / Haruka Ishiguro / Yoshino Kodama - 新人的ソフトウェア開発サバイバルガイド:荒野に向かい、瓦礫にぶつかり、迷子になり、広野に赴く
Kentaro MiyakeStudentUniversity of TsukubaHaruka IshigurostudentTokyo University of scienceYoshino KodamaStudent筑波大学schedule 3 months ago
20 Mins
Talk
Beginner
私たちは無限の可能性がある価値あるプロダクトを作るためにこれまで学んできた!
私たちはこう習った、道具もある、よしっ!これで行くぞ!!
(と、威勢の良かったチームが1ヶ月後にアマゾンの奥地に迷い込み連絡が途絶えた...)現代のソフトウェア開発は荒れ地を整え、価値のある建物を作り、継続的に繁栄するように外敵から身を守る・手入れをしなければならないです。そのため、とても難しい問題になっています。そのために、新規のソフトウェア開発は様々なステークホルダーの様々な想いを整理し、ゴールを定め、バックログを組み立てる必要があります。ただ、そもそも要望が曖昧だったりゴールが変わったりバックログは捻じ曲げられる事が多々あるでしょう。私たちのような新米開発者も、このような荒れ放題の要求から本質を見定めて価値のあるサービスを作ることが求められます。
ここで朗報、私たちはベテランから荒れ地を整えるための道具や知恵を多く教わってたばかりです。これを上手く使えば、どんな荒野でも怖くない!しかし、実際に現場に向かうとたくさんの知らなかったことに出くわします。そもそも、チーム内でも学んだ事に対する理解が異なっていることもあります。例えば「チームビルディングをやりましょう!」と聞くと、各々自分が学んだときに使った唯一無二の方法を持ち出してくるでしょう。そうして、チームビルディングも出来ていたはずなのに、ストレートに意見が言えない、認識の差違などが生じます。
私たちは5月からとあるハッカソンに参加するためにチームを結成しました。メンバーは実務経験や大学で開発経験を多く身につけてきた人たちでした。しかし、いざチームとして走り出すと「音信不通になった」「お腹が壊れて動けない」「絶起しました」という些細なことがきっかけに全体のでコミュニケーションが上手くいかなくなりました。そして、提出ギリギリまでアイデアがまとまらず右往左往する状態に。数々のアイデア発想フレームワークを学び、多くのアンチパターンを経験してきた私たちが何故このような状態になったのか?私たちは何も分かりませんでした。
本セッションでは、これまで異なる環境でソフトウェア開発について学んだ筑波大と東京理科大との合同チームが「荒野を頑張って整地しサービスの起案ができる」チームになるまでの軌跡とそこから得られた「新たな旅人」へ道しるべとなる知見をお話します。教科書をなぞれば上手くワークした環境から、自分たちの足で立ったときに直面した「チーム間のコミュニケーション」「お互いの前提知識・認識」の違いを克服するために試みたことについて紹介します。また、これから自分の足で前に進む事になる新人の方の生存戦略を考えるきっかけになったり、シニア層の研修プログラムの設計だったりコミュニケーションなどに活かせるお話をします。
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Ikuma Tadokoro - 「なんだかうまくいっている」を自分たちの「いつもどおり」に定着させるためのチーム戦略
20 Mins
Talk
Beginner
Abstract
ベロシティが不安定、スプリントゴールが未達成。これらの典型的な問題を抱えていた私たちのチーム。この混乱期を改善するためのイベントをファシリテーションしたことを発端に、今年4月からはじめてスクラムマスターのロールを担っています。
スクラムマスターになって数ヶ月、転がっていた課題を片付けていくことでスクラムは確実に改善し、チーム全員が「最近なんだかうまくいっているね!」という認識を抱くまでになりました。
そんな中これまでの活動の観察をもとに、「チームの活動に対して、一定の効力感を感じつつも、マンネリ感を感じているのでは?」との考えがよぎります。ふりかえりでぼそっとあげてみたところ、メンバーから「たしかに刺激が足りないかも」との声が。
転がっている課題を解いていればチームが前進できた混乱期に対して、表面上はうまくいっているこの状況でチームをどう改善していくのが良いのでしょうか?
この発表では混乱期を抜けたばかりのチームをどう捉えるか、その視点と道具をお伝えします。またチームがより上位の目標に向かうための前提として、フワッとした「うまくいっている」を自分たちの「いつもどおり」のやり方に定着させるために、私たちのチームがどのように取り組んでいるかをお話しします。
Pitch
- 混乱期をどう乗り越えるかは比較的参考となる情報が多い気がしますが、そこを抜けた先でどうすべきかはあまり情報がないと感じています。本発表はその部分を扱った内容になるので、あくまで1つのサンプルではありますが、チームの成長のためのヒントとなるのではないと思っています。また現在進行形でこの問題と向き合っているチームの話であるため、生存者バイアスなくライブ感をもって内容をお伝えできるかと思います。
- 業務未経験からキャリアチェンジして、約1年のプログラマです。スクラムマスターは現時点で3か月程度の経験ではありますが、だからこそ同じようにスクラムマスター歴が長くない方にも身構えずライトに聞いていただけると思います。
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Asato Takahashi - 価値提供を続けるチームはマインドセットに支えられていた
45 Mins
Talk
Intermediate
# このセッションで伝えたい
- ビジネスやチームへの期待、メンバーのキャリア、ライフステージなど、チームの環境や状況は良くも悪くも変化し続ける
- 大事なことは、変化をコントロールしようとするのではなく、チームが変化に適用して価値提供を続けられること
- そのためにはスキルやプラクティスの前にチームのマインドセットが醸成されていることが肝要
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僕たちはチームの立ち上げから1年でチームの形が6回も変えました。1チームスクラムから始まり、3チームスクラム、2チームスクラム、2チームスクラム+1チーム、2チームLeSS+1チームスクラム、3チームLeSS、そして今は2チームLeSSの体制です。メンバーの増減も頻繁なので毎月変化がありました。ビジネスの変化は対応するため、期待に応えるため、はたまた自分たちの挑戦のため、個人のキャリアのため、そのときどきの状況に応じて適切だろう体制を選択し続けてきました。
こんなにチームをいじりつづければ、チームはてんやわんや。成果も出ず、スクラムは破綻し、チームは空中分解…みたいになると思いませんか?
しかし、僕たちはちゃんと機能しているチームしてるんです!チームの形は安定させていないけど、安定した価値提供と成長を続け、社内で参考にされるプロダクトチームに成り上がりました!
なぜこんなことができたのか。それはマインドセットに力を入れてきたからです。アジャイルマニフェスト、スクラムやXPの価値基準、モダンアジャイル、テスティングマニフェスト、HRT、LeSSの原則…。そんなマインドセットをチームで理解し、それをベースにプラクティスに取り組んでいるから、形に拘らず変化に適応できるチームになれました。
このセッションでは
- なぜマインドセットが大切なのか
- 僕たちが大事にしているマインドセット
- どうやってマインドセットを当たり前にするのか
- 何を考えてチームの形を変化させてきたのか
などを共有します。変化に強いチームをつくる参考になれば嬉しいです。
ぜひ、チーム自慢させてください!
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keisuke kojima - スクラムマスターを1年間やったら開発に対する価値観が180°変わった話
20 Mins
Talk
Beginner
エンジニア時代の私は自身の技術面の成長を優先するあまり肝心の「プロダクトの成長」にあまり関心を持っていませんでした。「何を作ればユーザーに価値を届けられるか?」ではなく「自分がいかに多くのPBIを潰し、いかに多くのコードを書く経験を積めるか」が重要だったのです。
そんな私がスクラムマスターにロールチェンジし、約1年間スクラムマスターとしての責任に向き合った結果、開発に対する考え方が当時の価値観から大きく変化している事にふと気づきました。
スクラムマスターはチームや組織を変革する存在であったはずが、無意識のうちに自分自身が大きく変革している事に気づいた瞬間でした。
本セッションは、スクラムマスターを"たったの"1年間やっただけで開発に対する価値観が180°変わるに至った経緯とその要因を深掘りする内容となっています。
これからスクラムマスターに挑戦しようか迷っている方の背中を押すようなセッションにできれば嬉しいです。
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Hiroaki Ninomiya - ベンチャーキャピタル(VC)にアジャイルコーチがいたら親和性が高かった件 〜スタートアップの開発チームをハンズオン支援した中でのまなび〜
45 Mins
Talk
Beginner
私はスタートアップが好きです。
一般にスタートアップではリソースに限りがあるので、関係者全員が目線を揃えリーンに取り組む必要があります。ビジネスが確立しておらず内部の仕組みが整っていないことがザラなため、常に不確実性やカオスと隣り合わせです。
そんなスタートアップという存在が、文化祭前夜のようなワクワクを演出し私を魅了するのです。
私自身も元々は開発者として、いくつかのスタートアップを経験してきました。
そこから様々なスタートアップに携わり、かつ視点を変えることができと考えベンチャーキャピタル(VC)に転職したのが3年前。今では投資先支援チームの一員として、主に投資先スタートアップ企業を対象にスクラムを導入・運用を改善する業務に従事しています。
現職に来てから今日まで、濃淡はありますがDDを含めると100社以上のスタートアップの開発現場に関与しました。
支援に際しては、私自身が3ヶ月〜半年限定のアジャイルコーチとして現場に入ることもあります。そんな私自身の経験の中で思ったのが、アジャイルコーチの能力を持つ方々にもっとスタートアップに参入してほしい、ということです。
リーンであり続けなければならないスタートアップに、アジャイルコーチの支援が必要だというのは意外でしょうか?
ですが、実際に支援でスタートアップに入っていくと、ちょっとした手助けで会社というチームがよくなることがたくさんあるのです。そして私の場合、その視点はスタートアップで働いていた頃は持てていなかったな、と感じています。
つまり、アジャイルコーチの力が適しているのに、当人では気づきづらい何かがあるのです。本セッションでは、以下のトピックを扱います。
まず、セッションの前提となる、会社や業務のバックグラウンドについて。
次にスタートアップの環境で、私がトライして上手くいったことやいかなかったことについて。
そして最後に皆さんがスタートアップでのアジャイルコーチを検討する際に見極めるべきポイントについてご紹介します。セッションを通じて、みなさんにスタートアップで働くことの魅力をお伝えできればと考えています。