弟くん(猫)を迎えて、誰も檻に閉じ込めないことを目指し、まなんだこと・考えたこと
弟くん(仮名)は、身寄りのない保護猫です。
三重県のさる民家の木屋で生まれ、祖母猫・母猫ほか三兄弟と保護されました。他の家族みんなで保護された際に、夜に嵐となり1匹だけ取り残され、にもかかわらず翌日無事保護された強運の持ち主です。昨年(2022年)10月家に来たとき、まだ5ヶ月、子猫でした。
当時、わが家には、すでにおねえさん(仮名;10歳)妹ちゃん(仮名;当時5歳)の猫たちがいました。いずれも保護猫です。
おねえさんはそろそろシニアです。気力・体力的にもこれ以上年齢を重ねると子猫を迎えるのは難しいだろうなと思っていました。妹ちゃんは、保護した当時、1匹で現れ、母猫に育てられた形跡がうかがえない不思議な子です。子猫でしかも男の子が加入した際、どんな反応をするか想像もつかない状況でした。
ところで。
子猫を迎える際、ゲージを準備します。ゲージは安心安全を確保するためのものです。いきなり環境が変わり、見知らぬ人だけでなく見知らぬ猫たちがいる中、ただひとり放り込まれる訳ですから、隠れ家(アジール)なものがどうしても必要です。
一方で、ゲージには文字どおり檻の機能もあります。本猫の意志に関係なく、閉じ込めることもでき、隔離することもできます。
猫も動物である以上、それぞれの性格があり、どうしても相性が出てきてきます。時には派手な喧嘩をすることもありえ、相性が悪くて喧嘩が絶えないことも、一方がストレスを抱えるあまり病気になってしまうこともあります。また、人が手が離せない時や寝ている時に問題行動を防止するためにも使うこともあります。
閉じ込めること・隔離が必要な場合がどうしてもありえるのです。
閉じ込める。
今回、弟くんを迎えるにあたって、何とも もやもやしたこと は、そのことでした。
閉じ込めることだけは絶対したくない、とはいえ、男の子で子猫、やんちゃで食いしん坊、激しく動き回る。そもそもお互いがお互いを知らない、そのこと自体も恐怖。子猫といっても1歳で成猫になりすぐおっさん猫になる。体力の差はどうしてもでてくる。また、自分たち夫婦が外出したり寝ているとき手が離せないとき、もし3匹の身に何か起こったらどうしよう。やっぱりその期間だけでも閉じ込めることは必要悪なのではないか。
正直悩みました。悩みに悩みました。
悩みに悩んだ結果、わからないことはわからない。わからないことをわかるようになるところから、みんにゃで実験し検証していくほかなかろうと、思い至りました。
つまり、当初は完全に閉じ込めることがあっても、時間を区切って閉じ込め、段階的に閉じ込める時間を減らしていく、そんなふうに進められたらと考えたわけです。
具体的には以下です。
最初は隔離し、匂いの交流から始め、姿をほのかに見せるだけにし、お互い興味を持たせます。ゲージにいる弟くんを姉妹を抱っこして見せることから始め、そこから徐々に交流する時間を増やし、お互いがどんな行動をしているか家族皆で確認していきます。毎日、twitterで保護主さんはじめ保護猫活動をやっていらっしゃる方々と共有・ふりかえりをし、次の日のアクションを決める。
透明性、検査、適応、スクラムの三本柱を忠実に実行し、家族全員で実験を繰り返す。このこはこんな行動をするけど、こんなことはまずしないだろう、お互い信頼貯金を少しずつためていく。
もちろん全く問題がなかったわけではありません。
ここでは3つ取り上げて話したいとおもっています。おねえさん・妹ちゃんのご飯を割って入ってむしゃむしゃ食べる、壁をバリバリ、NotePCにのってキーを連打の3つです。とくに困ったのは キーボード連打でした。
いずれも、何が起こったか(行動)、わたしたちだけでなく猫さんたちからみた困りゴト、根本原因の3つに分解して、とくに、困りゴトに着目して工夫を行いました。導き出した工夫は、食べる時間を分ける、椅子を用意する、お盆を用意して NotePCのキーボードにのせるの3つです。
いずれもよく観てよく聴いて試してみてやってみました。よその事例をそのままもってくるのではなく、切実な思いで実際にやって導き出しました(なので、おそらく、皆さんのお家でそのまま適用できないかとおもいます)
が、工夫を導き出す「考え方」は参考になるかと、自分はおもっています。
そして、今ふりかえって、ここでのまなびは何だろうかと考えました。
まず、スクラムの理論には、3本柱:透明性・検査・適合の実現がありますよね。
透明性はわかりやすいですよね、できるだけ情報公開していこうという話なのかなと。
一方、検査と適合とは一体何でしょうか。
とくに適合とは・・適合というからには、何かに適合していくですよね、では何と適合していくのでしょうか。
わたしはこう考えています、
一つは現実との適合です。今ここで起こっている現実を受け入れみつめる必要があります。ただ、単にこれだけだと「できませんでした」で終わったしまいますよね。いわゆる現実への迎合です。
と考えると、もう一つ、本当の願いへの適合があるのではないでしょうか。
ただ、現実は日々流転するものであり、本当の願いはなかなか出てくるものではありません。
そのために、今ここで起こっていること、本当の願いって何だろうという検査をする必要が出てくるのだろうと。
今ここで起こっていること・見方は、人により解釈の枠組が異なる以上どうしても異なってきますし、本当の願いは弱々しいものになりがちです。
その解釈の枠組を乗り越え弱々しい声ならぬ声を拾うために、透明性が必要になってくるのではないでしょうか。
今、わたしたちの身の上で、誰かを閉じ込めることがなにかおこっていないでしょうか。
わたしはマネジャーという役割をになってきました。34歳からなのでかれこれもう20数年以上たってしまいました。
人と人が協働して価値あることをなす以上、何かしらの分担が必要、継続していく以上わたしという以外の役割ラベルが必要となってくる。また再現性上、そのラベルは何かしらの拠り所が必要になってくる、つまり拠り所はマネジャーにとっての一つのアジールなわけです。
思いおこすと、マネジャーが、単なるラベルであり、単なるアジールであり、で機能してきた場合は、うまくいってきました。
一方で、単なるアジールや単なるラベルが「檻」に変貌したとき、どうしてもうまくいきませんでした。それは、たまたま他所でうまく行ってきた「方策」がそのまま「正義」になって展開されてきたとき、MTGのときの「アジェンダ」が「戦略」となっているとき、なにより場をなんとか制御したいと願ったとき、それは「檻」となっていました。つらかったし、何よりも楽しくなかった。
今回、弟君をむかえて、いろいろな可能性があり、適用しうる方策もさまざまありました。よく聴きよく診て一緒に行動してきた。
その中でとってきた方策は、最初ぼんやりと思い浮かべていた方策とはまるで違ってきたものだったのです。楽しかったし、それは自分にとって大きな「発見」でした。
このセッションでは、つい「檻」に閉じこもりがちで、弱気で、言葉がでてくるのがとても遅い おっさんと、皆さんと一緒に「檻」から外にでていけたらという話をしたいと願っています。
どうかよろしくお願いします (_ _)
Outline/Structure of the Talk
はじめに
- リモートワーク中心のエンジニアは猫を迎えやすい
- 保護猫とは
- 保護猫のメリット、NyATOの結成がしやすい
- 自己紹介
どんな感じで迎えたのか、馴れ初めから今現在まで
- 弟くん(猫)との馴れ初め
- 迎えるにあたって事前の準備
- 準備したものの、不安だらけ、わからないことだらけだった
- トライアル開始、迎えた直後
- 壁向こうであわせる
- 直に会わせる、その後少しずつ時間を増やす
- 夜だけ分ける
- そして現在
ふりかえり
- 弟くんを迎えるにあたって、夜も眠れない問題って何だろうと考えた
- 夜も眠れない問題から、本当の望みは何だろうと考えた「よりよい関係の構築」
- twitter を活用した 立ち上げ(オンボーディング)
- 無知の姿勢、今ここに起こっていることを聴く・観る
- 特性を活かす、ありのままを観て、より伸びそうなところを探す
- (作業をするのではなく)みんにゃで一緒に実験する、実験できたことを感謝する
- 問題行動で困ったとき(クライシス):根本原因 - 困りごと - 行動 に分解、困りごとにフォーカスする
- そして、今やっているリスクコミュニケーション
おわりに
- 家族に迎えるなら保護猫を
- 迎える際のイメージがつくように、実例を交えて
- 今回のことをふりかえって、実は楽しんでいるとき・うまくいってときマネジメントそのものと気づいた
- みなさんの参考になれればうれしいです
質疑
- 時間があればぜひぜひ
Learning Outcome
猫を家族に迎えたいエンジニアの皆さんに、猫の迎え方がイメージつく
変化を抱擁するマネジメントを皆さんと一緒に学ぶ時間にできたら
Target Audience
ねこ好きな方、もふもふが好きな方、そしてメンバの特性を活かしたチームを作りたい方
Prerequisites for Attendees
ねこが嫌いな方にはつらいかも
schedule Submitted 3 months ago
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Akira Ohno - ラスボスゾンビのチェックリスト⁉️ -これであなたも立派なラスボスゾンビ!-
45 Mins
Talk
Beginner
Abstract
ラスボスゾンビとは「ゾンビスクラムサバイバルガイド」に触発され、私が独自に定義した言葉です。
「チーム・組織をゾンビスクラムに陥れるリーダーやマネージャー」です。スクラムフェス福岡にてお話しした「ゼロからスクラムを推進したスクラムマスターがラスボスゾンビEMになるまでの失敗と心の中」でラスボスゾンビのチェックリストを紹介いたところ、ご好評をいただきました。
このセッションは、ラスボスゾンビ株式会社(架空)が世の中にラスボスゾンビを普及するというストーリーに沿って、コミカルにラスボスゾンビにならないためのポイントをチェックリストに沿ってお話しします。
* ラスボスゾンビSMのチェックリストの項目の紹介
* それぞれの項目がなぜこのポイントがゾンビスクラムを招いてしまうのか
* どのような行動がゾンビスクラムに招いてしまうのかラスボスゾンビ株式会社からのメッセージ
こんにちは、世界の皆さん、私はラスボスゾンビ株式会社の代表取締役CEOのおーのAです。
弊社のミッションは「世界の全てのスクラムをゾンビスクラムに」です。
我々はラスボスゾンビという素晴らしいリーダーを育成するコンサルティング業を生業としております。本日はお集まりの皆様に、特別にラスボスゾンビトレーニングを提供いたします。
弊社独自に開発したラスボスゾンビトレーニングにより、皆様を立派なラスボスゾンビへと育成したいと思います。
皆様と共に世界をゾンビスクラムの脅威に陥れていきましょう。 -
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Yusuke Uchida / Yanagisawa Hisashi - アジャイルなスポーツ、バスケットボールの魅力
20 Mins
Talk
Beginner
なぜ今バスケ?
仙台の皆さんこんにちは!8/25、いよいよ2回目のスクラムフェス仙台が始まりますね!
でも今回の目玉はそれだけなんでしょうか…?
いえ、他にもあるんです!何を隠そう…FIBAバスケットボール・ワールドカップ2023も8/25に開幕するんです!!
今回はフィリピン、インドネシア、そして日本の3カ国で史上初の共催です。
日本はグループステージで- ドイツ(世界11位)
- フィンランド(世界24位)
- オーストラリア(世界3位)
- 日本(世界36位)
というグループEに所属し、「死の組」とも言われています。
しかし!日本代表のAKATSUKI FIVEは18年にはオーストラリアに、19年にはドイツに勝利した経験もあり、その時も試合に出ていた八村塁が今回も出場してくれるはずです!今年のバスケといえばスラムダンクの映画が盛り上がりもしましたが、歴代最強とも言えるAKATSUKI FIVEを応援しもうひと盛り上がりしようではありませんか!!
えっ?なんでそんな話をスクラムフェス仙台でするのかって?
そんなの、バスケがアジャイルなスポーツだからに決まってるじゃないですか!
ラグビーがアジャイルなスポーツという話もありますが、バスケも負けないくらいとてもアジャイルなスポーツなんです!本セッションでは会社も住んでる地域も応援するチームも違うけれどバスケが好きという強い絆で結ばれた二人が、
- バスケを知らない人でも
- 8/25から始まるバスケワールドカップを存分に楽しめ
- ワールドカップ終了後も継続的にバスケットボールを応援したくなる
- バスケを知ってる人は今まで気づかなかったアジャイルな魅力に気づきより楽しめるようになる
ような、バスケのアジャイルな魅力をお届けします!
我々が考えるバスケのアジャイルな魅力
- 5vs5のスモールチームで戦うスポーツであり、交代も自由であるためチーム全体アプローチで総合力を発揮することが重要です。
- 10分クォーターや24秒以内にシュートを打たなければいけないなど、試合中様々な長さのタイムボックスがあります。
- クォーター間の休憩やタイムアウトで検査と適応を重ねながら戦います。
- 試合相手や試合状況に応じて様々な戦術(プラクティス、カタ)を柔軟に選択し、170cm未満の選手が200cm超の選手を相手する瞬間も生まれます。
- 試合数が多く、連戦が基本なので出場時間をシェアしながらシーズンを戦い抜く持続可能性が重要です。
ワールドカップが終わったらどうなる?
ご安心ください、各地にチームがあります。
スクラムフェス・RSGTが開催されている札幌、仙台、新潟、東京、三河、大阪、福岡、沖縄のなんと全てにBリーグ所属のバスケットチームがあるんです!
ワールドカップは9/10まで開催されますが、そこから数週間後の9月末〜10月頭には2023-24シーズンが開幕します。
すぐそこまで迫った新シーズンに向けて、スクフェス・RSGT開催地のチームをご紹介します! -
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Misaki Nagasawa / Yuki Kitamori - 【新卒研修】自分の研修は自分で作る!
20 Mins
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Beginner
「2か月後の配属の時、自分はどうなっていたいのか」
必死に考え続けて、研修期間を駆け抜けてきました。私たちが受けた新卒研修は、スクラムに則って行われていました。
プランニング、デイリースクラム、レビュー、レトロスペクティブ、
そしてまた、プランニング、...サイクルを回すごとに、私たちの研修は私たちの手によって改善されていきました。
理想の自分になるための最高の研修を作り上げた先に、何があるのか...
このセッションでは、配属されてからの学びも加えて、改めて新卒研修をふりかえります!
スクラムの要領で、一週間ごとにプランニングと振り返りを繰り返し、研修中の学びの最大化を目指してきました。一週間後にどうなっていたいのか、二か月後研修が終わる頃には何を身に着けていたいのかを考えて研修期間を過ごすうちに、自分のための研修ができていきました。新卒研修を通して私たちは大きく成長し、さらに成長し続ける土台をも築きました。その土台がまさに、スクラムのリズムです。スクラムのサイクルを常態化させることで、日常的に自分の取り組みや自分そのものを改善させていくことができるようになりました。
このセッションでは、
どのようにして自分の研修を作ってきたのか
研修を通して身に着けたスクラムのリズム
日常にスクラムのリズムを取り入れる方法
についてお話します!
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Kei Ogane / Akihisa Furuhashi / kobase 555 / Suzuki Hiroyuki - コントリビュータ気質のスタッフが心地良く過ごせるスクラムフェスというカンファレンス
Kei OganeEngineering Managerfor Startups, inc.Akihisa FuruhashiSoftware Enginnerkobase 555Software EngineerSuzuki Hiroyukischedule 3 months ago
45 Mins
Talk
Beginner
歴戦のカンファレンススタッフであるAckyさんとこばせさんの二人に、カンファレンススタッフのお仕事を聞いたり、そこでの二人のやりがいを聞くことを通じて、スクラムフェスというコミュニティに潜むコントリビュータ気質のスタッフがいきいきと働ける、良さについて言語化していきます。ここで言うコントリビュータ気質とは、貢献のためにたくさん手を動かす気質を指します。
なおカンファレンススタッフ業務に関しては、スライドを用意し解説をしますが、二人のやりがいや価値観については、ばやしがインタビュー形式で聞き出していきます。 -
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Yusuke Amano - シャークレくんトークショー
20 Mins
Talk
Beginner
オレ、シャークレ、トークショーを開催するサメ!
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