2020年4月に『Agile Testing Condensed Japanese Edition (以下、Condensed日本語版)』の初版が公開されてから2年が経ちました。
この本はQAエンジニアやテストエンジニアの当事者に限らず多くのアジャイル実践者に読まれ、年々ポピュラーな1冊となりつつあります。
ところで、原作者2名による最初の著作『実践アジャイルテスト』を読んだことはありますか?
『Condensed日本語版』が発行される数ヶ月前、駆け出しのQAエンジニアだった私は『実践アジャイルテスト』に出会いました。そこに書かれていたのはアジャイル開発の世界に入ったテスターが直面する困惑と抵抗、それを乗り越えて築かれた数々のプラクティスでした。
『Condensed日本語版』にももちろんそのプラクティスは受け継がれていますが、『実践アジャイルテスト』とは異なる目的のもと構成されています。
"この本の目標は、テストを成功させてアジャイルな状況で質の高い文化を作り込む方法について基本的な理解を得るために誰でも手に入れることができる、小さく簡潔で読みやすい本を作成することでした。(中略)
これは、アジャイルを採用しているチームにいる読者、またはテストや品質がアジャイル開発にどのようにフィットし、マネージャーや経営層などのガイダンスを探しているかを知りたい読者向けです。"
(『Condensed日本語版』序文「なぜこの本があるのですか?」より)
この序文からも分かる通り、メインターゲットは品質保証の専門家を迎え入れるアジャイルチームの人たちや、マネジメント・経営層の人たちです。そのためテストエンジニア・QAエンジニアの当事者が身につけておくべきスキルやマインドセットについては、各々の努力で補完していく必要があります。
現在『実践アジャイルテスト』の日本語版は入手困難であり、これから Agile Testing の世界に入っていく日本のQAエンジニアは『Condensed日本語版』を拠り所にしていくことでしょう。それでももちろん問題ありません。ただ、前者に全く触れないでいるのも私はちょっともったいないように思えてならないのです。
本セッションでは『実践アジャイルテスト』で印象的だった内容を紹介することで、『Condensed日本語版』を読了した方の次の学びへと繋げていきます。また、『実践アジャイルテスト』の原著『Agile Testing: A Practical Guide for Testers and Agile Teams』を手にするか迷われている方の参考になれば幸いです。